防災士を活用して、地域の防災力向上を

更新日:2023年06月12日

広島県自主防災アドバイザー 河村誠さん

広島県自主防災アドバイザー

栗生町内会長 河村 誠さん

最近よく耳にするようになった「防災士」。

ではどんな資格なのか、どんな活動をされているかをご存じですか?

5月1日現在、府中市内で防災士の資格を取得している人は、約110名。

平成30年7月豪雨などをきっかけに、府中市でも多くの人が防災の必要性を感じるようになり、防災士の資格を取得する人は近年増加しています。

今回は、広島県自主防災アドバイザーの河村誠さんに、まだまだ知られていない「防災士」の活動などについてお話を聞いてきました。

河村さんにインタビュー

まずは、防災士の役割と資格を取得したきっかけを教えてください。

防災士は、防災に関する知識と技能を修得した人に、日本防災士機構が認定する民間の資格で、地域の防災力を高めるための活動を行います。

私は、町内会長になったことをきっかけに、いざという時に、地域の方々の命を守りたいとの思いを持ち、勉強をして資格を取得しました。現在は、防災士としての実績を認めていただき、県の自主防災アドバイザーとしても活動しています。

防災士としてどんな活動をされていますか?

栗生小学校生徒に向けて防災教室を行う河村さん

栗生小学校での防災教室の様子

いざという時の被害をできるだけ小さくするためには、日頃からの防災活動が欠かせません。防災士は、災害時はもちろん、平常時には地域の人たちの防災意識を高めるためにさまざまな活動をしています。

私は、栗生地区を中心に活動をしていますが、地域の自主防災組織の運営に携わり、災害時に備えた訓練や研修に参加するほか、町内会の役員の方と協力して、防災に関する講演や教室も開催しています。例えば、栗生小学校では、平成30年から毎年防災教室を行っており、災害にはどんな種類があるのか、自分の身を守るにはどうしたらいいのか、などを4日間にわたり学んでもらいます。さらに昨年は、栗生保育所からも依頼があり、園児向けの内容にして開催しましたね。また、高齢の方が集まるサロンでは、周辺の危険箇所について確認するなど、その地域に合った内容のお話をするようにしています。

栗生地区独自での情報発信にも力を入れられているそうですね?

安否確認システムと呼んでいますが、災害時に安否確認依頼や避難所の開設状況などを登録者への一斉メールで配信しています。土砂災害警戒区域に住んでいる、浸水地域である、家族に要支援者がいる、などの情報も分かるようにしているので、管理者が地域の状況を把握しやすくなっています。また、住民が「うちの裏山が崩れそう」などの情報を入力して発信すると、管理者から該当地域の役員に共有され、すぐに対応にあたります。災害時に行政と住民をつなぐ役割を担っていると考えています。

また、栗生町のホームページにも、防災関連の情報を発信するページを作っています。府中市の雨量情報や河川のライブカメラなども確認できるほか、県のホームページにもリンクしているので、災害時にわざわざ検索しなくても、すぐに必要な情報を収集できます。これらの情報発信も、防災に関する活動として取り組んでいます。

地域の防災力を上げるためにはどんなことが必要だとお考えですか?

インタビューに答える河村さん

住民一人ひとりが災害を自分のこととして捉え、自主防災に意識を持っていただくために、まずは地域が主体となって防災活動に取り組むことがとても重要だと思います。府中市内それぞれの地域を運営する役員の皆さんに、今以上に防災に関する知識を身に付けていただき、それが地域全体に広まることを期待しています。最近は、自主防災会があまり機能していないところもあると思います。しかし、実際に避難しなければいけない状況になったときには、近所の人との助け合いが必要です。日頃からのあいさつや声かけなどで繋がりを持っておくことも大切ですね。

私たちは、地域の人に正しい知識を伝え、命を守ることにつなげていきたいとの思いで啓発に取り組んでいます。しかし実際には、防災士の活動の場はまだまだ少ないのが現状です。地域や職場で防災講演会を開きたい、避難所の運営について聞いてみたいなど、依頼があれば他の地域にも出向いてお話をしますので、気軽に私たち防災士をご活用いただき、地域の防災力向上に役立てていただきたいと思います。

最後に、地域の中で防災士が求められる時代だと思いますが、これから防災士になりたいと考えている方はどうすればいいですか?


防災士の資格を取得するためには、研修講座の受講と資格取得試験を受ける必要があります。私は、福山市が開講している「福山防災大学」で研修講座を受講しましたが、講座の受講費用の約4万円は、全額府中市が負担してくれました。こうして気軽に取得できる体制が整っているのはありがたかったですね。

自分と家族を守ることはもちろん、地域や職場で災害が起きた場合など、防災士の知識を持っていれば活用できる場がたくさんあると思います。補助制度を利用して、ぜひ若い世代の方にも取得していただきたいですね。


防災士への防災講演会などの相談・依頼、防災士資格取得に関して

問い合わせ先 市役所危機管理課(0847-43-7211)

 

おわりに

地域の防災力の向上に向けて、日々ご尽力いただいている防災士の皆さん。その活動と思いを聞き、防災について改めて考える機会となりました。

近年、記録的な大雨や台風の発生などによる災害が激甚化・頻発化して、多くの被害が出ています。災害はいつ起こるか分かりません。いざという時に、大切な命を守るために、今できることを考えましょう。

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広島県府中市 総務部 総務課
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