若葉家具 井上社長に聞く「ものづくりのまち府中」の魅力 後編

「ものづくりのまち府中」のなかでも府中家具と言えば代表的なキラーコンテンツ。誰もが知っている府中ブランドの代表選手です。良い物へのこだわり、伝統の技術、職人の技について、楽しい話が聞ける。そう考え伺ったのは若葉家具株式会社代表取締役社長の井上隆雄氏。
ところが、井上社長から聞くのは、どちらかというと楽観視できない現状や危機感、そして今までにない取り組みに関するお話で…。
この記事は後編です。前編は下記リンク先からご覧ください。
若葉家具 井上社長に聞く「ものづくりのまち府中」の魅力 前編
井上社長にインタビュー
今の時代にあった若葉家具の取り組みについてお聞かせください。

若葉家具のショールーム
この度ショールームのリノベーションをはかり、空間と家具をテーマに、暮らし方の提案だけでなく、ものづくりや歴史を伝える場、地域とのつながりを持てる場として新たな発信をしています。
家具のデザインも手掛けていただいている小泉さんに、空間デザインと監修をお願いしました。
1階は、家具と生活道具を提案するショップと、イベントなどを通じて製品のこだわりや良さをより良く伝えるギャラリー空間。2階は、家具・古道具を展示し、ものづくりや府中家具の歴史を伝えるミュージアム、現代の環境にあった働き方を提案し、オフィス空間を体感できる場所にしています。
また、建物と外の関係性を見てもらうために、芝生の庭も開放しています。今後はイベントを開催し、地域の人が集まれる場所にしていきたいと思っています。

わかばこと井上社長
庭の一角に建つ、オリジナルの小屋「わかばこ」も、新たに手掛ける事業の一つです。小屋は、工務店さんから見ると小さな家ですが、我々からすると「大きな家具」なんですよね。家具と過ごす自由な小屋を体感していただきたいです。離れとして趣味を楽しんだり、ショップとして使ったり、時代の流れに沿ったさまざまな使い方を提案していきたいと思っています。
どのような反響や変化がありますか?

ウッドデッキと庭
空間の中に家具があることで、家具の見え方もこれまでとは違っていると思います。さらに、ミュージアムや庭もあるので、皆さんに楽しんでもらえていると思います。
また、外部からたくさん人が見に来てくれて、「この場所でこんなことができそうだね」など、嬉しいお声をいただくこともあるんです。そういう方とつながることで、場所を提供することはもちろん、今後一緒に何か取り組みもできるかもしれません。実は、広い空間に家具のショールームだけでなく、さまざまな機能を付け加えたのは、地域に人を呼びたいという狙いもあるんです。ただショールームに家具があるだけでなく、みんなが集まれる場所があることで、多くの出会いやつながり、そして新たな何かが生まれる、そういう場所になればいいと思っています。
このショールームのリノベーションの際に、デザイナーの小泉さんから、このような取り組みを通じて地域を変えていきましょうという声を掛けてもらいました。しかし、地域を変えることは、私たちだけで叶うことではありません。まずは私たちが率先して新しいことに挑戦し、周りにもいい影響を与えていければと思っています。お互いに切磋琢磨することで、業界、さらには地域全体の活性化につながればいいですよね。
府中市のこれからについて

府中市にはいいものがたくさんあります。でも残念ながら、府中市全体で発信することが十分にできていないと感じています。ものづくりのまちだから、何か新しいもの、みんながあっと驚くものが必要だと思い過ぎているのかもしれません。ものづくり気質なんですかね?発信する手前で止まっているような。もちろん新しいものを作ることも大切です。でもそれ以前に、自分たちが当たり前だと思っているものも、目線を変えれば実は新鮮で、地元の人さえ知らない優れた技術やものがたくさんあるんですよね。
例えば、府中焼きって私たちが子どもの頃からあるんですよ。焼き方もほぼ変わっていません。物心がついて教えてもらうまで、あれが広島焼きだと思っていましたから。その府中焼きも、B1グランプリに出るなど発信をすることで、広く知られるようになったじゃないですか。今まで当たり前にあったものが世の中に出て人気になる、これが最たる事例だと思います。
まずは、そういったものの棚卸や磨き直しが必要かもしれませんね。そして、それらをどう発信するかが大事だと思っています。
今も皆さん個々で頑張ってはいるんですが、余力を持っているわけではないので、イベントなどをやっても一過性で続かないんですよね。行政などの力を借りながら、また、外から来た人など、少し離れた目で見れる方たちの考え方や意見も取り入れながら、まだ世に出ていない優れた技術やものを一つずつ積み上げて発信していくことで、少しずつ変わっていくような気がしています。
皆さんとのつながりを大事に、府中市の魅力発信に一緒に取り組んでいきたいと思っています。
ショールーム|わかばかぐ
https://wakabakagu.com/
おわりに
チャレンジすること、魅力発信すること、そして共に取り組める仲間がなにより大切というお考えには激しく同意しました。その考えを形にしたショールームはとても居心地の良い空間でした。
府中市にはたくさんのチャレンジャーがいらっしゃると思います。このコンテンツで引き続きクローズアップしてみなさんにご紹介していきます。
この記事に関するお問い合わせ先
広島県府中市 総務部 総務課
広報統計係
〒726-8601 広島県府中市府川町315番地
電話 :0847-44-9131(窓口業務時間)
ファクス:0847-46-3450
更新日:2023年06月02日